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30年前から今まで 間取りの変化を考えてみた
こんにちは!営業スタッフの北嶋です。
私は20代の頃から注文住宅のインテリアコーディネーターを経て、その後は営業スタッフをしております。
注文住宅の間取りや設備の流行、内装の流行などを、30年にわたり見てきました。
その間 住宅の間取りなどにも影響を与える、いろいろな変化がありました。
私の感じる変化は以下の通りです。(他にも沢山あると思いますが、思いつくまま書いてみます)
1990年頃から2024年までに間に大きな変化があったと感じる点
家の性能
◆家の断熱性能が飛躍的に上がった
◆耐震等級の高い家が増えた
◆24時間換気の義務化
◆窓と家の断熱の性能が上がる共に、不要な窓をつくらなくなった
社会的背景
◆未婚が増えた
◆晩婚化
◆少子高齢化
◆長寿化
◆若い世代の車離れ
◆土地の価格高騰。
◆SNSの普及
◆多くの職種でテレワークが可能となった
◆地球温暖化により二酸化炭素の排出削減がひっ迫した課題と認識された
◆太陽光発電が普及し、太陽光発電設備の金額が下がった
◆自然災害の増加
◆花粉症などアレルギー疾患が増えた
家庭・家族
◆家事・育児は男女に関わらず夫婦で協力するようになった
◆親子の距離感が近づいて、友達親子のような家族が増えた
◆世帯人数が減った
家の中のこと
◆オール電化の普及
◆掃除機はコードレスが主流になった
◆ロボット掃除機
◆食洗器の普及
◆クローゼットが当たり前になり、タンスの所有率が激減した
◆在来のお風呂からユニットバスに変わった
◆2000年頃から、モバイルスマート端末が急速に普及し、
Wi-Fiが一般家庭から一人暮らしのマンションに至るまで、広く普及した
◆動画配信サービスなどが充実して、地上波テレビをあまりみなくなった
◆インターネット通販の利用が日常となった
◆洗濯物の外干しが減り、部屋干しあるいは乾燥機利用が増えた。
◆リビング・ダイニング・キッチンが広くなり、各居室が狭くなった
◆こどものリビング学習が増えた
◆冠婚葬祭を家で行わなくなった
◆和室がなくなった
30年というと、30歳で家を建てた方が60歳。0歳の赤ちゃんが30歳、、、。
その間の様々な環境の変化は多岐にわたって当然のことと思います。
時代や環境が変わることにより家族関係や、求められる間取りや住宅設備も変わってきました。
30年前に流行っていた住宅設備や間取りの話をすると、20代の同僚は理解不能のようです。(笑)
今後はIOTなどがもっと普及していき、私たちの生活ももっと変わっていくと思います。
時代背景と共に、新築の間取りも変わる
30年前の福岡では、和室(しかも二間続きの広縁付きなど)を、新築で要望されることがありました。
そんな和室は仏間や客間や冠婚葬祭に使用され、1年の間で使用されるのは数日ということもありました。
その分、家族が過ごすリビング・ダイニング・キッチンなどは狭かったです。
最近では和室を希望される方も減りました。
ご要望があったとしても畳スペースです。
用途は、小さなお子様の遊び場や、リビングの一角でごろ寝できるようになど。
以前の和室とは大きく異なります。
冠婚葬祭を家で行わなくなったことや、お仏壇をリビングなどに置く方が増えました。
土地代があがり、購入する土地も狭くなり、建築費も上がりました。
普段使用しない部屋は「もったいない」と考える方が増えたことが大きな要因だと思います。
30年ほど前に、システムキッチンが一般化し、対面キッチンが急速に増えました。
いまではフラットキッチンなども増えて、家の中心的存在としてキッチンや、
インテリアの主役も兼ねるキッチンも増えました。
家の断熱性能が上がったことで、部分間欠の冷暖房から、家全体を24時間冷暖房するようになり、
吹き抜けのあるリビングやリビング階段も出来るようになりました。
家族関係の変化も間取りの変化の要素です。
親子が友達のように仲が良くて、こどもは部屋に閉じこもることなく、リビングにいる時間がほとんどです。
友達か遊びにきても親に隠すことなどなく、むしろ親も含めこどもの友人を歓迎していることが多くなりました。
女性は働いており、専業主婦は激減しました。
また男性も家事や育児をすることが当然になり、
家事はタイムパフォーマンスを優先するようになりました。
わたしたちをとりまく社会や環境はこれからも変わっていくと思います。
変わることは悪いことではなく、良いことも沢山あります。
家の断熱性能が上がっているのにそれに合わないような昔の家の暮らし方
(例えば各室のドアをしめ切っての冷暖房)などをすることはもったいないと思います。
いつも開けっ放しにしている建具なら、最初から付けなくてもよいのでは?
極論ですが、家全体をトイレと風呂以外を大きな1ルーム
(2階建てなら2ルーム)みたいに考えても良いのかもしれません。
その時々の家族構成や、暮らしのニーズに応じて布やロールスクリーンで仕切ったり、
家具でゆるやかに別けたりして使い方を変えていくのも、いいのかもしれません。
「今の流行」というSNSでよく見るような、ありがちな家を作ると
10年、20年後は
「こうしなければよかった」「なんでこんな設備を導入にしたんだろう」
など思うことがあるかもしれません。
皆がが同じ暮らし方、働き方をしていません。
皆さんそれぞれの生活スタイル、家族の数だけ生活が違います。
それぞれの家族に合った間取りがあるのだと思います。
田辺木材ホームでは、50年100年と永く住める家をつくっていますので、
将来の可変性も考えて、お客様と一緒に考えていけたらと思います。
間取り迷子にならないために
人生の中で、家を建てる(あるいは買う)ということは必須ではありません。
家は贅沢品であり資産ではなく負債で、一生メンテナンスも必要です。
家を持たないと不幸なわけではありません。家を持たなくても幸せです。
これから家を建てる方に考えてほしいのは、なぜ家を建てるのか?ということです。
いろいろな理由はあるでしょうが「家族の幸せ」のためというのが根底にあると思います。
この「理由」がブレなければ家づくりの成功者になれると思います。
田辺木材ホームは自由設計の注文住宅のみつくっていますので、間取りは自由です。
間取りについて「リビングは20畳以上ほしい」「パントリーがほしい」「回遊同線」にしたいなど
多くのご要望がありますが、ありがちなこととして、そこから間取りを考えると「間取り迷子」に陥りがちです。
「リビングは20畳以上ほしい」「パントリーがほしい」「回遊同線にしたい」など
言葉にすれば「〇〇がほしい」などかもしれませんが、そうしたい理由や背景や目的があるはずです。
理由や目的やその背景を理解して間取りを考えるとその方にとっての「良い間取り」が生まれます。
もし、お客様が「リビングは20畳以上ほしい」「パントリーがほしい」「回遊同線」にしたいという要望をおっしゃったとして、その通りに間取りをつくることも出来ます。
しかし、それではパズル合わせすることになり、使いにくいかもしれませんが、ご要望を叶えた家にはなるでしょう。
建売住宅はそれでよいと思いますが、
自由設計の注文住宅の場合は「手段を目的すべきではない、もったいない」と思います。
「リビングは20畳以上ほしい」理由は何ですか?
たとえば、「20畳のリビングが欲しい」という要望は、突き詰めていくと、その目的は「リビングを広くしたい、家族の集まるリビングにしたい」ということでしょうか。
そのご要望に応える手段としては、「実際に20畳のリビングを設けるという手段」以外にも、
下記のようなたくさんの手段があるのです。
- 視覚的に広く見せる方法
- ハイドアを採用する
- 吹き抜けを設けたり、あえて一部の天井を低くしたりするなどメリハリを付ける
- ウッドデッキもしくはタイルデッキをつくり部屋からのつながりをつくる
- 低めの家具を置く
- 壁や天井のクロスを暗い色にしない、逆に一部に暗めの色をつかい奥行感を出す
- リビングに収納を設けて、散らからないようにスッキリ暮らせるようにする
現在とこれから先の家の間取りを考える
モノの所有や整理収納については別の機会にブログを書きますが、
収納が少なすぎるのはよくありませんが、管理できないほどのモノを所有しないことは大事だと思います。
管理できないほどの思い出の品も問題です。
思い出にしばられて今や未来を楽しめないのは勿体ないですよね。
そのうえ、土地も建物も高くなりました。
収納を1坪増やすために、土地代と建物で合計100万円かかるとするならば、
その収納を作りますか?
そこに収納するものに100万円の価値があればよいと思いますが、
いらないものや、壊れたものなどをいれておくとしたら、高額な収納です。
広いリビング、広い寝室、広い子供部屋、ファミリークローゼット、シューズクローゼット、
そうやって「広い」「欲しい」「憧れや夢」を詰め込むと、おのずと家は大きくなります。
そうやって広くしたことにより建物価格が300万円上がったとしたら、
その家での生活は幸せになるのでしょうか。
無理なローンを組んで、返済に四苦八苦して家族の時間も取れなくなったら悲しいことです。
大きな家を建てる財力がある方には、大きな家をおススメいたします。
「こうあらねはならない」わけではなく、「こんな考えかたもあるよね」と思って頂けたら嬉しいです。
私がこれから、自分の家を建てるなら、
なるべく小さな家で、
なるべく少ないモノ(ただし、お気に入りのモノのみ)
心豊かに暮らしたいなと思います。
営業スタッフ 北嶋